今まで何度も岡本太郎を批判してきた。それは彼の名声と実力が均衡していないと思ったからだ。有名なほどには優れた画家ではない。先日9月9日の朝日新聞に「絵画で見る岡本太郎」という記事が掲載された。
岡本太郎論の刊行を予定している美術評論家の北澤憲昭さんは「緊張感のある『痛ましき腕』や、ポップながら迫力のある『森の掟』には画面を作る意識があり、『絵画』として向き合えるが、60年代以降の作品を1点ずつ解説するのは、つらい」と話す。
60年代は、具象性が突然消え、書や梵字のように抽象化する。「明日の神話」や「太陽の塔」といったパブリックアートの名作を経て、70年代以降は、顔や仮面、動物のようなキャラクターが登場する。「岡本太郎というブランドのためのスタイルで、マンネリ、自己模倣に映る」と北澤さん。「岡本太郎を人間として心底尊敬する」と話し、00年には『岡本太郎宣言』を著した美術史家の山下裕二さんですら、「60年代以降はマンネリズム」と認める。
北澤、山下両氏とも優しいと思う。私は「痛ましき腕」は優れた作品だと思うが、「森の掟」も「明日の神話」も「太陽の塔」もこれらをどうしても評価することができない。
何度も批判した私の岡本太郎論。
開高健「人とこの世界」〜岡本太郎、中井恒夫(2009年8月28日)
「世田谷時代1946-1954の岡本太郎」展を見る(2007年5月12日)
岡本太郎の書(2006年12月21日)
岡本太郎(2006年11月21日)
岡本太郎の「痛ましき腕」(2006年8月24日)
下の作品は岡本太郎の「痛ましき腕」