トルーマン・カポーティの「クリスマスの思い出」は特に好きな短篇だ。イノセント=無垢が好きというよりおばあちゃんが好きなのだ。これは7歳の男の子と彼の60歳を過ぎた従姉である「親友」の交流の物語だ。
フルーツケーキを作るため、密造酒を売っている恐ろしいインディアンからもらったウィスキーが瓶に5センチほど余ったので、二人はそれを生で飲んで酔っぱらい歌い踊る。
誰かが入ってくる。二人の親戚だ。かんかんに怒っている。目はつりあがり、その舌は文字どおり火を吐く。彼らの言葉はひとつに混じり合って怒りの旋律となる。「七つの子どもだよ! 息がウィスキー臭いじゃないか! あんた気は確かかい! 七つの子どもにお酒を飲ませるなんて正気の沙汰じゃないね! 滅びへの道だよ、これは! ……
いやいや友人のI田君とは大違いだ。彼はもっと小さいときからお父さんの晩酌に付き合って日本酒を飲んでいた。それで小学生の時、盲腸の手術をされたが麻酔が効かなかった。何人もの看護婦さんが彼を押さえつけて手術をした。痛かったぜ、今でも夢に見るよ。ところがそれで終わることなく、昨年原因不明の皮膚病になって、病院で組織を採られた。まあ皮膚の一部を切り取られたようだ。麻酔が効かなくて痛いの何のって、とI田君は言っていた。
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