東京都現代美術館で川俣正展と「MOTアニュアル2008ー解きほぐすとき」、それに常設展を見る

 東京都現代美術館へ行く。入口にベニヤ板の壁がずーっとできている。これは何の工事ですか? 川俣正展の展示です。作品なのです。そうだ川俣正の作品に間違いない。どうして分からなかったのか。いま都現美川俣正展と「MOTアニュアル2008ー解きほぐすとき」、それに常設展をやっていることは知っていたはずだ。川俣というばベニヤの構造物だろう。いや、今回メーンは「MOTアニュアル」だったのだ。川俣正展のことはすっかり忘れていた。
 建物の外からベニヤの壁でできた仮設通路が美術館の中、ずっと奥まで展示室の中まで延々と続いている。これが川俣の作品なのだ。つまらなかった。川俣は巨大な建物を布で梱包するクリストに似て、やはり建物をベニヤ板など木材で囲む作品を作っている。それは一種暴力的な作品だ。それに対して今回の美術館のなかに通路を作った作品は何かおとなしいものに思えたのだ。
 「MOTアニュアル2008ー解きほぐすとき」もイマイチだった。この「MOTアニュアル」は毎年有望な若手の作家数人を取り上げて紹介するものでいつも楽しみにしている。それがなぜか今回の作家たちは低調なのだ。ちなみに取り上げられた作家は、金氏徹平、高橋万里子、立花文穂、手塚愛子、彦坂敏昭の6人だ。
 会田誠「美しい旗」
 もう一つ楽しみにしているのがここの常設展だ。年に4回くらい展示替えがある。ところが今回半年間展示替えしないという。岡本太郎の巨大な壁画「明日の神話」を展示しているためだろう。これが大きな部屋を占めていて、展示スペースが限られてしまっている。最大の問題がこの作品がつまらないことだ。巨大なことだけが取り柄なのだ。そんなわけで常設展も期待はずれだった。
 まあ、しかし会田誠の「美しい旗」が見られたので良しとしよう。2曲1双の屏風で、戦場で若い娘2人が破れた汚れた旗を掲げている。一人はセーラー服を着て日章旗を、もう一人はチマチョゴリを着て韓国の国旗を。それらの服も汚れて破れている。会田誠は変態を自称するように毀誉褒貶があるが、やはり実力のある作家であることがこの絵を見ればよく分かる。