作間敏宏のインスタレーション

mmpolo2006-10-19




初めて作間敏宏の作品を見たのは今はもうない大田区久が原のガレリア・キマイラでの個展だった。キマイラは閑静な住宅街の中にある現代美術の画廊で個人の家の一部を展示スペースにしている。
玄関を入ると目の前の壁面に5ワットほどの電球が100個ぐらい円盤状に取り付けられていて薄明るく光っている。何個かは電球が切れているのか光っていない。これだけ数があると数個くらいは切れているのだ。
階段を2階へ上るとそこが主展示室で、広い部屋の四面の壁の上方に先ほどと同じ5ワットの電球が多数取り付けられていて、光っている。消えているのもずいぶん多い。電球だからコードも張り巡らされていて、でもよく見るとコードは水平か垂直に取り付けられていて、電球との位置関係から家系図のように見える。
そのつもりで見れば上の方に位置する電球は消えているのが多く(祖父母の代か)、下の方に位置する電球はほとんど光っているが、数が少なくまれに消えているものもある(孫の代か)。すると光っているのは生者であり消えているのは死者だ。では玄関の電球の消えているのは集団の中の死者か。
3階の別の小さな展示室を見ると、床に灰かなにかを敷き詰めてそこにたくさんの電球を埋め込んでいる。もともと一般の住宅なので冷蔵庫か何かに電源が入ると一瞬電圧が下がる。そのとき見下ろしている床の電球群がすっと消えそうになる。たくさんの命が同時に失われるイメージが浮かんだ。神が広島を見ていたらこんな風景が見えるのか。


その後代官山の同潤会アパートが取り壊される時、古い部屋を展示空間に使ったグループ展があった。作間はお婆さんが1人で住んでいた部屋を展示スペースに選んで不思議な空間を作り出した。布団を敷き古い茶碗を食器棚に並べ、電球を布団の上や食器棚の中、押し入れ、そして部屋のあちこちに置いたのだ。暗く古い部屋に小さな明かりがともり、古い物たちに精霊が宿っているように見えた。アニミズムがすなおに信じられた。


虎ノ門のギャラリー日鉱では広い展示スペースに農業で使うビニールハウス3棟を設置し、ビニールハウスの中に藁を敷き詰めてそこに電球を配置した。ビニールハウス=野菜の栽培から、この展示ではわれわれの生命も誰か(神?)に育てられているのかもしれないなどと連想させられた。


このように考えさせるインスタレーションが優れたインスタレーションだ。
作間敏宏のホームページ http://www.ne.jp/asahi/moon.web/sakuma/