ギャラリー7℃の作間敏宏展「治癒」を見る

 東京中目黒のギャラリー7℃で作間敏宏展「治癒」が開かれている(9月10日まで)。ギャラリーへ足を踏み入れると左手の壁と正面の壁に無数の白黒写真が吊り下げられている。会場にいたスタッフに聞くと1,000枚近くあるという。いずれも暗闇から人がぼんやりと浮かびあがっている。作間は最近、動画で暗闇から人が近づいてきてまた去っていくという作品を作ってきた。おそらくこのたくさんの写真はその動画の素材だったものだろう。
 ギャラリー7℃は変わった空間をしていて、「コの字」を立てたような形をしている。入り口から入り、突き当たって右折し、もう一度右折すると行き止まりになる。写真が吊り下げられている正面の壁の真向かいの壁面に小さな電球が縦に列を作っている。そして電球の列は床からは右回りに奥に向かって弧を描くように伸びていて、奥の壁に突き当たって止まっている。いや、奥の暗闇から伸びてきた電球の列が弧を描いて壁面に到達し、天井の方へ伸びているとみるべきかもしれない。縦列の電球の周りには、ミニチュアのビニールハウスの骨組み=模型がこれも数多く並んでいる。
 電球とビニールハウスは命とそれを育む家庭とかコミューンみたいなものかもしれない。ビニールハウスは壊れているようにも見える。壁に吊るされてある無数の写真は亡くなった人たちや、その記憶かもしれない。







 作間のインスタレーションは見るべき価値がある。ぜひ中目黒のギャラリー7℃へ足を運ばれることをお勧めする。
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作間敏宏展「治癒」
2017年8月30日(水)―9月10日(日)
12:00−19:00、会期中無休
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ギャラリー7℃
東京都目黒区上目黒2-43-3 NM7th B1
電話03-3710-8450
http://www.h7.dion.ne.jp/~gallery7/
※山手通りを背にして目黒銀座商店街を直進、左手に大空電気のある交差路を右折してすぐ左手。中目黒駅から徒歩5分。