東京日本橋本町のギャラリー砂翁で及川伸一展「忘れたままのこと」が開かれている(11月2日まで)。及川は1949年東京生まれ。1980年から1992年まで独立美術に出品していたが、1992年からは個展を主な発表の場所としている。これまでギャラリー汲美、ギャラリーテムズ、ギャラリーゴトウ、ギャラリー砂翁&トモス、Shonandai My ギャラリーなどで発表してきた。
最近は銀座のギャラリー403で具象的作品の個展も行っている。今回1年ぶりの抽象作品の個展になる。及川は無彩色の画面が主力だが、鮮やかな緑や赤などの作品も混じっている。無彩色に囲まれた鮮やかな色の作品は一層印象的でもある。形は描かれているが、ほとんどぶっきらぼうなまでに単純だ。作品を作るのには形に頼らないと突っ張っているように思われる。形に頼ることなく作品を完成させているのが及川の力なのだろう。
具体的な形に頼ることなく、しかし形を完全に手放すことなく作品化している及川の仕事は、私にはとても貴重に思われる。最小限の形=形態=イメージでマンネリに陥ることなく制作を続けていくことは、おそらく怪力が必要なのではないだろうか。おだやかな風貌からはそんな内面を窺うことができないが。
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及川伸一展「忘れたままのこと」
2018年10月23日(火)−11月2日(金)
11:00−18:00(最終日17:00まで)日曜休廊
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ギャラリー砂翁
東京都中央区日本橋本町1-3-1 渡辺ビル1F
電話 03-3271-6693
http://saohtomos.com
地下鉄(銀座線・半蔵門線)三越前駅A1番出口より徒歩3分