奇妙な作品、松山広視展@ギャラリイK

 先週、京橋のギャラリイKで奇妙な個展が開かれていた。松山広視展だ(5月3日〜8日まで)。
 画廊に入る、そこには何もない。画廊を見回すがやはり何も展示されていない。十数年前、三品幸彦がギャラリー21+葉で不思議な個展をしたことがあった。画廊の天井に走っている水か何かのパイプの横に同じようなパイプを数本付け足したのだ。三品の作品が常にパイプをテーマとしていること、ふだんこの画廊の天井にこんなにたくさんのパイプが走っていないことを知らなければ、これが作品だとは気付かないだろう。だが、今回の松山の個展はそのようなものでもなさそうだ。
 しかし、実は私は松山の個展を何回も見ているので驚かなかった。画廊の壁を見回す。奥の壁に小さな青い点を見つけた。これが作品なのだ。というか、広い画廊の空間にこの小さな点が1個だけあることが、そういう不思議な空間が松山の作品なのだ。究極のミニマル作品かもしれない。何年か前までは小さな立体を壁に設置していたが、最近はこのように直径数ミリの色の点を壁に直接描いている。いや、描いたのは今回が初めてで、今まではあらかじめ紙に色を塗り、それを小さな●に切り抜いたものを画廊の壁に貼っていた。今回は油彩で塗ったので物質感がありますと松山が言っていた。

 画面中央のやや右側に点が描かれている

 右側の壁の上の方だ

 これが近づいて見た点

 松山広視は1974年三重県生まれ。1999年名古屋芸術大学美術学部を卒業している。名古屋の画廊で十数回個展を開いた他に、銀座のギャラリイKで9回、フタバ画廊で2回の個展を行っている。