渡邊美貴展「性の永遠性」が興味深い

 銀座のギャラリーQで渡邊美貴展「性の永遠性」が開かれている(9月19日まで)。立体作品で、いずれもイネ科の植物(雑草)を素材とした立体だ。ススキやヌカキビ、メヒシバ、エノコログサを使って、稲藁を綯(な)うように、縒り合わせて立体を成形している。筵(むしろ)を作るやり方だねと言うと、彼女は筵を知らなかった。
 床に置かれた大きな作品が「ある時点の女の一部」と題されている。女の一部って何? 子宮です。えっ、子宮なの、そうか奥の方までは興味がなかったから知らなかったよ。
 天井から吊り下げられているのは「X」というタイトル。メヒシバとヌカキビで作られている。個展の題名「性の永遠性」からするとオスとメスを表しているようにも見えるが染色体らしい。いや男女とみた方が面白いのではないか。
 ススキで作られている「男性/巣箱」は分かりやすい。ペニスサックだ。
 マネキンのストッキングにびっしりと貼り付いているのは野原を歩いているとズボンに付着してとれないアワユキセンダングサの種。このタイトルが「しがらみ」は分かりよすぎないか。
 床に置かれた「ある時点の女の一部」が一番面白い。大きな割に中空で意外に軽いという。この形を草で作ったのが成功している。職人が作ったきれいな縒り方でないのも良かった。この稚拙な技術が、植物を使って性に関する造形を目指した作家の意図によく合っている。
 今週いっぱいでもう日にちがないが、見に行ってほしい。
 渡邊美貴は1986年福岡県生まれ、2009年多摩美術大学絵画学科油画選考卒業。


「ある時点の女の一部」

「男性/巣箱」

「X」

「しがらみ」


渡邊美貴展
9月14日(月)−19日(土)
11:00ー19:00(最終日ー17:00)
ギャラリーQ
東京都中央区銀座1-14-12 楠本第17ビル3階
電話03-3535-2524
http://www.galleryq.info