新宿の初台にある東京オペラシティアートギャラリーで池田満寿夫展「池田満寿夫、知られざる全貌」が開かれている。池田は版画家として高い評価を受けた。特に1966年のヴェネツイア・ビエンナーレ展の国際版画大賞を受賞し、その評価を確立した。ほかに小説「エーゲ海に捧ぐ」では芥川賞を受賞し、その映画化作品の監督もした。晩年は焼き物に熱中していた。今回の回顧展は特に晩年の焼き物に力を入れた展示だという。
その焼き物・オブジェはひどかった。縄文焼きと称している。なんでこんなものを作ったのだろう。無残としかいいようのない形だ。以前彫刻家の渡辺豊重さんと話した折りに池田のオブジェはひどいと言うと、空間が把握できてないからだと言われた。
版画は初期のものが良いが、それでも時代が経ってみるとあちこちの版画展でのグランプリは評価のしすぎだったのではないかと思われてくる。時代の子だったのだろう。その時代は遠く過ぎ去ってしまった。以前(まだ池田が存命中)に話した若手の版画家も、昔の池田満寿夫は天の高みにいる神様でした、でも今の池田はゴミですと言っていたのが印象的だった。