東京神宮前のトキ・アートスペースで井上修策展「reflection painting 仄」が開かれている(8月4日まで)。井上修策は1959年三重県生まれ、1984年に武蔵野美術大学造形学部油絵学科を卒業している。長年ギャラリー現で個展を開いていたが、最近はギャラリーQや藍画廊などで開催していた。
井上の言葉、
物事は見る立場、視点によって見え方が違う、誰もが認める客観的な事実(基準)ではなく、多視点的な解釈が必要である。
このキャンバスは集合体として層をなし、正面性を著しく否定する。キャンバスと絵の具は白いままで、なにも語らないようだが、視点を変えるとキャンバス側面の隙間から仄かに下層のキャンバスに反映した光彩が認められる。下層のキャンバスには、なにか白色絵の具で描かれているが全容は隠されている。
物を見るとは光が物に反射して物の像が網膜を経由し、脳の感覚や思考領域等へ到達することだが、光源画像はより網膜を刺激する。その刺激をキャンバスと絵の具で出来ないものかと考えた。
キャンバスの裏に描いた絵画の色彩を下層の白色キャンバスと絵の具にreflect させ、その仄かな光彩を反映させ微かな刺激を得ようとした。
キャンバスに隠された絵画にも想像と思考をかたむけてもらいたい。
「仄」とは
ほのかに。かすかに。
かたむく。かたよって。わきから。うらがえる。
などの意味がある。
井上修策は長くインスタレーションや立体作品を制作してきたが、前回辺りから絵画作品を発表している。とは言え、ありふれた絵画を発表するような作家ではない。「キャンバスの裏に描いた絵画の色彩を下層の白色キャンバスと絵の具にreflect させ、その仄かな光彩を反映させ微かな刺激を得ようとした」と言っているが、平面絵画の多層化、非平面化も井上の狙いなのではないか。一筋縄ではいかない作家なのだ。
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井上修策展「reflection painting 仄」
2024年7月30日(火)―8月4日(日)
12:00-19:00(最終日17:00まで)
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トキ・アートスペース
東京都渋谷区神宮前3-42-5 サイオンビル1F
電話03-3479-0332
http://tokiart.life.coocan.jp/