山本弘の作品解説(38)「母子」


 山本弘「母子」油彩、F10号(53.0cm×45.5cm)
 1976年制作。おそらく1976年9月の飯田市勤労福祉センターでの個展で発表された。この時山本弘46歳、この「母子」の子のモデルである娘の湘ちゃんは5歳だった。山本は前年にアルコール中毒治療のため飯田病院精神科に入院し、この年の1月に退院してきたばかりだった。退院後なんと2年間断酒したという。
 山本の白は本当に美しい。俺は白がうまいんだといばっていた。シルバーホワイトをほしがっていたが、当時飯田市の画材店ではジンクホワイトしか売っていなかった。東京で買って送ってあげたが、私が無知なため小さなチューブを1本送っただけだった。どこかに使われただろうか。


山本愛子所蔵)