美術品の鑑定

 富岡鉄斎の作品と言われているものには贋作が多いことはよく知られている。私も何点かの贋作を見た。私でも分かるくらいの稚拙な贋作が多いのだ。私は鉄斎の作品をたくさん見てきたが、それらのほとんどは美術館で見た。その中には贋作は少ないだろう。それ以外には個人の所蔵品を見ている。秋葉原の料亭に飾られていた鉄斎も贋作だと思う。義父も贋作と知りながら持っていたし、松本のデパートで開かれた鉄斎展にも何点かの贋作が混ざっていたと教えてくれた。
 鉄斎の真贋の鑑定は京都に住む鉄斎の孫が行っていた。鑑定料は1点10万円とのことだったが、その孫も高齢で亡くなった。
 鑑定料っていくらくらいですかと懇意の画商にたずねると、鑑定額の1割と決まっていると言う。この絵は鉄斎の本物で現在の価格は300万円ですとなれば鑑定料は30万円だ。この志野茶碗は本物です、2,000万円はしますとなれば200万円払わねばならない。高いとは思うが、鑑定によってお宝かゴミか分からなかったものがお宝と確定するのなら妥当な金額かもしれない。
「開運! なんでも鑑定団」で以前日本刀の鑑定を担当していた「刀剣の柴田」の柴田さんが亡くなって今は息子さんが出演しているが、知人がそのお父さんに日本刀を鑑定してもらったことがあった。ここはメチャクチャ合理的な鑑定料で、真贋にかかわらず一振り5千円だった。本物の場合、希望すればやはり5千円で鑑定書を書いてくれた。
 私も何度か山本弘の絵の鑑定をしたことがあるし、希望されれば無料で鑑定することにやぶさかではない。