『小林秀雄 江藤淳 全対話』を読む

『小林秀雄 江藤淳 全対話』(中公文庫)を読む。17年間に行った5回の対談を網羅したもの。文庫オリジナルという。 一応日本を代表する知性の対談で楽しみにして読んだが、柄谷行人の濃密な対談を読んだ後では、慣れ合った二人のスカスカの雑談を読まされて…

ギャルリー東京ユマニテbisの日高衣紅個展を見る

東京京橋のギャルリー東京ユマニテbisで日高衣紅個展が開かれている(5月21日まで)。日高は2012年多摩美術大学版画専攻を卒業し、2015年筑波大学人間総合研究博士課程に入学し、2016年国立台湾藝術大学へ1年間の交換留学、2018年に筑波大学大学院前期博士課…

ガルリSOLの上原佳代彫刻展を見る

東京銀座のガルリSOLで上原佳代彫刻展が開かれている(5月28日まで)。上原は1965年生まれ、千葉大学法経学部を卒業し、その後美術研究所民美で学び、さらに武蔵野美術大学短期大学通信教育学部を卒業している。1995年から日本アンデパンダン展に出品し、こ…

柄谷行人『柄谷行人対話篇Ⅱ 1984-88』を読む

柄谷行人『柄谷行人対話篇Ⅱ 1984-88』(講談社文芸文庫)を読む。柄谷が対談の相手に選んでいるのは、木村敏、小林登、岩井克人、大岡昇平、子安宣邦、リービ英雄の6人。いずれも極めて高度な内容で、対談ながら読み進むのが大変だった。 木村敏との対談、 …

金井美恵子『新・目白雑録』を読む

金井美恵子『新・目白雑録』(平凡社)を読む。金井の『目白雑録』シリーズは朝日新聞出版のPR誌『一冊の本』に連載されていて、ある分量が貯まると朝日新聞出版から単行本が出版されてきた。単行本は5巻まで発行され、しばらくするとそれが朝日文庫になって…

コバヤシ画廊の服部繭展を見る

東京銀座のコバヤシ画廊で服部繭展が開かれている(5月14日まで)。服部は福島県生まれ、日展審査員伊藤応久、芸術院会員織田廣喜、フランスのポール・アンビーヌに師事している。1984年にル・サロン初入選、1991年兜屋画廊で初個展、その後ギャラリーなつ…

高島屋日本橋本店美術画廊Xの重野克明展を見る

東京日本橋高島屋6階美術画廊Xで重野克明展「新作猫画展 あそぼうよ!」が開かれている(5月23日まで)。重野は1975年千葉市生まれ、2003年に東京藝術大学大学院修士課程美術研究版画専攻を修了している。主に77ギャラリーで個展を開いているが、高島屋美術…

ガルリH(アッシュ)の飯島祐奈展を見る

東京日本橋小舟町のガルリH(アッシュ)で飯島祐奈展「石があった場所」が開かれている(5月21日まで)。飯島は1995年東京都生まれ、2018年女子美術大学芸術学部美術学科立体アート専攻卒業、2021年同大学大学院美術研究科博士前期課程美術専攻立体芸術研究…

ギャラリーGKの柴田和「入札展示会」を見る

東京銀座のギャラリーGKで柴田和「入札展示会」が始まった(5月14日まで)。柴田は1934年生まれ、帝国美術学校(武蔵野美術大学の前身)を卒業。1960年代、美術グループ乱立の時代はネオ・ダダのメンバーらとも一緒に活動していた。1963年、最後の読売アン…

東京画廊+BTAPの朴栖甫展を見る

東京銀座の東京画廊+BTAPで朴栖甫(Park Seo-Bo)展が開かれていた(5月7日まで)。ギャラリーのホームページより、 朴栖甫(Park Seo-Bo)は1931年、韓国の慶尚北道醴泉生まれ、1954年に弘益大学美術学部絵画科を卒業し、モノクロームの線画や韓紙の質感…

浅野貞夫植物生態図という絵葉書

「浅野貞夫植物生態図」という絵葉書がある。精密な線描で植物の生態を描いている。浅野貞夫は植物学者で、文章なしで植物を表現することを心掛けた。地上部はもとより、花や果実、種子、地下部までを1枚の図に描き表わした。そのために時に何年もかけて図を…

坂井律子『〈いのち〉とがん』を読む

坂井律子『〈いのち〉とがん』(岩波新書)を読む。副題が「患者となって考えたこと」。坂井はNHKのプロデューサーとして活躍していた2016年、突然膵臓がんだと診断される。東大病院の肝胆膵外科に入院する。手術時間8時間、膵臓のがんはすべて取り切ること…

『ドライブ・マイ・カー』の濱口竜介監督に対する蓮實重彦の評価

蓮實重彦が『ちくま』2022年5月号の連載エッセイ「些事こだわり」にアカデミー賞と濱口竜介について書いている。 ……アカデミックな姿勢とはいっさい無援の、その呼称にはまったくふさわしからぬ年に一度のハリウッドの映画的かつ空疎きわまりない祭典には、…

JINENギャラリーの生頼制作所展を見る

東京日本橋小伝馬町のJINENギャラリーで生頼制作所展が開かれている(5月15日まで)。生頼(おおらい)制作所とは、オーライタローとおおらいみえこ夫妻が2014年より始めた家内制美術団体の名称。つまりオーライタローとおおらいみえこ展を意味している。二…

金井美恵子『〈3・11〉はどう語られたか』を読む

金井美恵子『〈3・11〉はどう語られたか』(平凡社ライブラリー)を読む。購入してよく見たら、本書は9年前に朝日新聞出版から発行された『目白雑録5 小さいもの、大きいこと』のタイトルを変えての再発行だった。すでに1度読んでいたし、ブログにも紹介し…

コバヤシ画廊の前本彰子展を見る

東京銀座のコバヤシ画廊で前本彰子展「極楽水宮」が開かれている(5月7日まで)。前本は1957年石川県に生まれる。1980年京都精華短期大学絵画専攻科卒業、1982年Bゼミスクール修了。1983年よりコバヤシ画廊をはじめ個展多数。 画廊の中央に大きなドレスが…

津野海太郎『編集の提案』を読む

津野海太郎『編集の提案』(黒鳥社)を読む。津野の編集に関する古い文章を編集の宮田文久が拾い出して1冊にまとめている。津野は50年ほど前、演劇集団68/71(後の黒テント)の演出を手掛け、また晶文社の編集者として晶文社の出版方針を先導したという印象…

春の連休に向島百花園を訪ねる

春の大型連休に東京墨田区の向島百花園を訪ねる。最初にセッコクが咲いていた。藤、紅色のウツギ、卯の花=ヒメウツギ、芍薬、コデマリ、ムラサキツユクサ、睡蓮、ムラサキセンダイハギ、アヤメ、セイヨウサンザシなどが咲いている。 むかし、ふ化したばかり…

ギャラリーαMの高柳恵里展を見る

東京東神田のギャラリーαMで高柳恵里展「比較、区別、類似点」が開かれている(6月10日まで)。高柳は神奈川県生まれ。1988年に多摩美術大学大学院美術研究科を修了し、1990−1991年イタリア政府給費留学生としてミラノ国立美術学院に留学している。現在多摩…

ユーカリオの久保田智広個展を見る

東京人具前のユーカリオで久保田智広個展が開かれている(5月1日まで)。久保田は1992年東京生まれ、2017年東京芸術大学 美術学部絵画科油画専攻 卒業、2018~19年ウィーン応用芸術大学交換留学、2020年東京藝術大学美術研究科修士課程版画専攻 修了。今回が…

圓井義典『「現代写真」の系譜』を読む

圓井義典『「現代写真」の系譜』(光文社新書)を読む。今まであった写真史と全く異なる優れた写真史が現れた。取り上げられた写真家は、土門拳、植田正治、東松照明、荒木経惟、須田一政、杉本博司、マルセル・デュシャン、佐藤時啓、森村泰昌、畠山直哉。…

トキ・アートスぺ―スのいぐち なほ展を見る

東京神宮前のトキ・アートスぺ―スでいぐち なほ展が開かれている(5月8日まで)。いぐちは東京出身、1996年に学習院大学文学部哲学科を卒業している。2011年このトキ・アートスペースで初個展、以来ほぼ毎年同じ画廊で個展を続けている。 作品は小さなキャ…

アートスペース羅針盤の菊池玲生個展を見る

東京京橋のアートスペース羅針盤で菊池玲生個展――「日本画」のシミュレーション――が開かれている(4月30日まで)。菊池は1993年生まれ、2014年に東京藝術大学日本画専攻に入学し、現在同大学大学院美術研究科博士課程(日本画)在籍中。今までガレリア・グ…

高階秀爾『芸術のパトロンたち』を読む

高階秀爾『芸術のパトロンたち』(岩波新書)を読む。先日読んだ矢代幸雄『藝術のパトロン』が日本の美術コレクターを取り上げていたのに対し、本書はヨーロッパの美術パトロンたちを取り上げている。 ルネッサンス頃のイタリアフィレンツェの同業者組合が彫…

Ritsuki Fujisakiギャラリーの山本れいら展を見る

東京東日本橋のRitsuki Fujisakiギャラリーで山本れいら展が開かれている(5月8日まで)。山本は1995年東京生まれ、10代で渡米し、シカゴ美術館附属美術大学で学んだ。2020年にギャラリーMoMo六本木でグループ展に参加し、2021年に三越前の画廊で初個展を…

身内の語る西郷孤月のこと

西郷孤月は橋本雅邦の弟子、大観、春草、観山とともに四天王と呼ばれた。私の岳父の妻は西郷孤月と親戚で、その生家は西郷と言った。松本市の城山に西郷家の墓があり、そこは松本の武士の墓地だったという。西郷家を中心に松本市に西郷孤月を研究し顕彰する…

矢代幸雄『藝術のパトロン』を読む

矢代幸雄『藝術のパトロン』(中公文庫)を読む。国立西洋美術館設立の基となった松方幸次郎コレクション、三渓園の原三渓、大原美術館を作った大原孫三郎と総一郎親子、福島コレクションの福島繁太郎の4組の大コレクターを取り上げている。 松方幸次郎は川…

ガルリH(アッシュ)の高山瑞展を見る

東京日本橋小舟町のガルリH(アッシュ)で高山瑞展「やまびこ」が開かれている(4月30日まで)。高山は1993年神奈川県生まれ、2016年に武蔵野美術大学造形学部彫刻学科を卒業し、2018年に東京藝術大学大学院美術研究科彫刻専攻を修了している。グループ展に…

藍画廊の瀧田亜子展を見る

東京銀座の藍画廊で瀧田亜子展が開かれている(4月23日まで)。瀧田は1972年東京都生まれ。2年間ほど中国へ留学し書を学んできた。毎年ほぼ2回の個展を繰り返してきて、旺盛な制作意欲を示している。 前回の個展から作風に変化が見られてきたが、今回はそれ…

うしお画廊の井上敬一展を見る

東京銀座のうしお画廊で井上敬一展「あしたはあたしの風が吹く」が開かれている(4月23日まで)。井上は1947年、福岡県田川市生まれ。1980年に福岡教育大学美術研究科を修了している。井上は銀座のみゆき画廊で個展をしていたが、みゆき画廊が閉じてからは…