ギャラリー現の井上修策展「日常絵画」って?

 東京銀座1丁目のギャラリー現で井上修策展「日常絵画」が開かれている(12月14日まで)。井上が絵を描いたのか? しかも日常絵画なんて分からないものを? 昨年の12月の個展は3万個以上のどんぐりをポリエチレン製の種苗ポットに植え込んで画廊中に張り巡らしていた。同じ年の3月の個展では金属のエアーボールを床に敷きつめていた。2010年の個展では毎日10枚描いた3,500枚のドローイングを並べていた。2009年の個展は500mのロープに円周率の数字をスタンプしていた。また1,000体のキリストをレースのカーテンのように吊り下げていたこともあった。今年の展示はどんななのか?
 個展の題名の「日常絵画」とは、毎日1点365日絵画を描き続けたものだった。画廊には365点の作品が持ちこまれている。さすがに展示しきれないので、余った分は床に縦に並べて置かれている。
 壁面いっぱいに展示された絵画作品を見ると、すべて抽象的なものばかりだがきわめて多様で同じ作品がない。1年間毎日描いたというのが信じられないくらい変化に富んでいて水準も高い。教師の仕事をしながら、これだけ大量の作品を描き続けるとは、井上とはいったい何ものなのだろうか。
 まさか、英語の小説を大量に翻訳していた大久保康雄のように、大勢の下請けを雇って仕事をさせ、それをすべて大久保康雄の名前で発表したような共同作業を、井上もしているのではあるまいか、と半ば冗談で憶測してしまいそうだ。
 どうしてこんなに多様で膨大な仕事をすることができるのだろう。見事な仕事に圧倒されてしまう。





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 井上修策に関する過去のエントリー
ギャラリー現の井上修策展「イキタ」が見事!(2012年12月14日)
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ギャラリー現の井上修策展は傑出している!(2009年12月13日)
クリスマスの井上修策(2006年12月25日)
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井上修策展「日常絵画」
2013年12月9日(月)−14日(土)
11:30−19:00(土曜日17:30まで)日曜休廊
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ギャラリー現
東京都中央区銀座1-10-19 銀座一ビル3F
電話03-3561-6869
http://g-gen.main.jp