巷房の加藤哲展を見る

 東京銀座の巷房(巷房1、巷房2、階段下)で加藤哲展「BU/WT」が開かれている(1月13日まで)。加藤哲は1970年北海道生まれ、1996年に東京藝術大学美術学部油絵科を卒業し、1998年同大学大学院美術研究科を修了している。1999-2001年に独デュッセルドルフ美術アカデミーに学び、2006-2007年独マインツグーテンベルク大学美術アカデミーに文化庁在外研修員として学んだ。1997年にフタバ画廊で初個展、2002年からはここ巷房で発表を続けている。

 今回巷房の3つの会場を使って発表している。いずれも素材にプラダンを使っている。プラダンとはプラスチックダンボールの略で、梱包材や養生シートなどに使われている。加藤哲はプラダンを細く切り、それを接着して作品を作っている。


 巷房1ではプラダンを重ねている。断面のハーモニカ状を見せている形だ。それを斜めから見ると白っぽいレリーフのようなオブジェだが、断面の位置から直視すると奥の色彩が見える。しかしちょっと顔を振ると色彩は見えなくなる。


 巷房2ではダンプラを細く切り取り、四角形に造形している。「口」の字のような形だ。4つの壁面に720個ほどが吊るされている。すべてフリーハンドで作ったとかで、どこか歪んだような形もある。一見ミニマル風だが、ミニマル・アートではない。


 巷房階段下には白い棒がたくさん立っている。これもプラダンを切り出したもので、プラダンをストローのように切り出して立てている。

 一見地味な展示だが、新年早々面白い展示を見ることができた。今まで何度も見てきたのになぜ加藤哲の面白さに気付かなかったのだろう。

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加藤哲展「BU/WT」

2024年1月8日(月)―1月13日(土)

12:00-19:00(最終日は17:00まで)

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巷房1、巷房2,階段下

東京都中央区銀座1-9-8 奥野ビル3F・B1F

電話03-3567-8727

https://gallerykobo.jp/