アンドーギャラリーの中沢研展を見る

 東京江東区木場公園近くのアンドーギャラリーで中沢研展が開かれている(4月28日まで)。中沢は1970年東京生まれ、1994年に多摩美術大学大学院美術研究科絵画専攻を修了している。1992年にINAXギャラリー2で個展を開いた後、ギャラリー現やギャラリー山口、ギャラリー58などで個展を続け、最近はこのアンドーギャラリーで個展を繰り返している。

f:id:mmpolo:20220211090039j:plain

f:id:mmpolo:20220211090053j:plain

f:id:mmpolo:20220211090109j:plain

f:id:mmpolo:20220211090127j:plain

f:id:mmpolo:20220211090141j:plain

f:id:mmpolo:20220211090215j:plain

f:id:mmpolo:20220211090235j:plain


 今回は鉄線を折り曲げて彩色した同じような形の単体(ユニット)を170点設置している。高さは80cmほど。過去数回は個々のユニットがひとつに繋げられていたけれど、前回2020年から単体で立っている。コの字型に曲げられた針金をもう一度直角に曲げ、その端にT字型に足を付けて立たせている。

 ユニットはばらばらに置かれている(ように見える)。以前も書いたことだが、中沢の作品は一見菅木志雄と共通する点があるようにも見える。だが違いも大きい。菅と異なり、中沢には造形に関して美的な追及がある。菅はむしろ美的な造形を無視しているきらいがあるので、そこは重要な違いだ。以前、菅と中沢に関して描いたことを再録する。

 

 菅木志雄はもの派に属している。もの派は「もの」を投げ出すように展示して、作品に過剰な意味を持ち込まない。その中でも菅はとくに作品から意味を捨象することにこだわっているように見える。そして造形的な美を追求することに熱心ではない。だが意味を持ち込まないということは、そのような形で意味に執着しているとも言える。

 それに対して、中沢は作品の「意味」に関してニュートラルであって、それにこだわりを持っていない。中沢の追及しているのは造形的な美しさに近いだろう。「意味」と「造形性」に関して、菅と中沢は正反対なのだ。「意味」に関して解りにくいかもしれないが、例えれば憎しみは愛のカテゴリーに属し、愛憎に最も遠いのが無関心だということに近いだろう。

 中沢は現象として「もの派」に近似するが、本質的には全く別のスクール(派)に属するだろう。

 

 アンドーギャラリーは地下鉄清澄白河駅が近いが、東京都現代美術館がすぐ近くにある。現代美術館に来たついでに立ち寄れば、さほど遠いとも思われない。深川資料館の近くには鄙には稀な充実した古書店「しまぶっく」もあるし。

     ・

中沢研展

2022年2月8日(火)―4月28日(木)

11:00-19:00、日曜・月曜・祝日休廊

     ・

アンドーギャラリー

東京都江東区平野3−3−6

電話03−5620−2165

http://www.andogallery.co.jp

東京メトロ半蔵門線 清澄白河駅B2番出口から徒歩10分

都営地下鉄大江戸線 清澄白河駅A3番出口から徒歩12分

東京メトロ東西線 木場駅3番出口から徒歩15分