アンドーギャラリーの中沢研展を見る

 東京江東区木場公園近くのアンドーギャラリーで中沢研展が開かれている(11月24日まで)。中沢は1970年東京生まれ、1994年に多摩美術大学大学院美術研究科絵画専攻を修了している。1992年にINAXギャラリー2で個展を開いた後、ギャラリー現やギャラリー山口、ギャラリー58などで個展を続け、最近はこのアンドーギャラリーで個展を繰り返している。
 1999年の東京都現代美術館が企画した第1回の「MOTアニュアル」にも選ばれていた。天井から網で作られた机みたいな立体を吊り下げていた。その後もギャラリー現の個展でも束ねた木材のようなものを天井から吊り下げている。
 中沢は一見菅木志雄に似ているが、菅がモノ派らしく意味を捨象しているように見えて、その実意味の対極を選択することによって意味にこだわっているのに対して、中沢は徹底的に造形だけにこだわっている。中沢は意味に対して無関心なのだ。ただ形の美しさ、形態の完成をのみ意識している。







 今回中沢は針金で構成した立体のユニットを画廊いっぱいに展示している。1列7個のユニットが3列になっている。全部で21個だ。それぞれのユニットはほぼ20本ほどの針金を立て、それを上下2本の針金で結んでいる。
 アンドーギャラリーに個展の座を移してからは床にこだわっているように見える。作品が直接床に置かれ、床に立っている造形に変わってきた。アンドーギャラリー以前の個展が他であまり見たことのない不思議な形で、それを理解するのが難しい印象が強かったが、アンドーギャラリーに移ってからの作品は難解な要素が薄れ、造形的に美しく完成度が高くなってきている。
 中沢の造形はミニマルではなく、手仕事の痕跡を色濃く残している。手仕事の痕跡は表現なのだ。針金は頼りなく曲がり、溶接した部分も洗練した形を嫌っている。いま中沢はまぎれもなく完成の域に達していると思う。
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中沢研展
2018年9月11日(火)−11月24日(土)
11:00−19:00(日・月・祝日 休廊)
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アンドーギャラリー
東京都江東区平野3−3−6
電話03−5620−2165
http://www.andogallery.co.jp
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