鬼海弘雄対話集『ことばを写す』(山岡淳一郎=編、平凡社)を読む。写真家の鬼海が8人と対談している。その8人は、山田太一、荒木経惟、平田俊子、道尾秀介、田口ランディ、青木茂、堀江敏幸、池澤夏樹らだ。
対談は普通主体として語るインタビューされる人とインタビューアーの構図、対等の二人が語る構図があると思う。鬼海はインタビューアーとして語ってはいない。相手から話題を引き出す役割ではない。では対等の二人が語っている構図なのだが、あまり成功しているとは思えない。鬼海はきわめてユニークで魅力的な写真家ではあるのだが、そもそも語るのが得意の人ではないだろう。
青木茂は再生建築を提唱する建築家。するとさすがに鬼海が語る余地がなく、青木の興味深い話を聞くことになる。
青木 建築的に言うとキリスト教よりイスラム教の方が創造力を刺激します。スペイン南部にはイスラム様式で建てられた宮殿が、レコンキスタ(キリスト教徒によるイベリア半島再征服活動)で一部キリスト教の礼拝堂になったところがありますが、すごく醜い。世界遺産のアルハンブラ宮殿のなかにもキリスト教の教会がありますが、あれも醜い。建築としての射程がイスラムの方が圧倒的に長いんですよ。
これらの人選は誰が行ったのだろう?