山本弘の作品解説(92)「河童」(仮題)

f:id:mmpolo:20191124215952j:plain
 山本弘「河童」(仮題)、油彩、F4号(33.5cm×24.3cm)
 制作年不詳。ただサインから晩年の作品であることが分かる。河童を描いている。背に甲羅を背負い、頭に皿が描かれている。子供のように下腹が膨らんでいる。ユーモラスな姿だ。
 山本は絵は売れなかったと思う。色紙に河童を描いて売っていたが、それはよく売れたようだ。飯田市では河童の弘さんと呼ばれていたという。河童を描くのは手慣れたもので、色紙のほか、油彩でも何点も見ている。
 右手に笹を持っている。よく見ると甲羅には筆の反対側で甲羅を線描している。山本は酒癖が良いとは言えなかったが、ユーモアのある面白い人だった。それがこの絵によく現われている。