東京京橋のギャラリーなつかで「たまびやき」展が開かれている(9月28日まで)。「たまびやき」は、毎年ギャラリーなつかで開かれる多摩美術大学工芸学科/陶/選抜作品展だ。今年は女性作家6人が選ばれている。
まず石井藍子が面白かった。石井は1997年、千葉県生まれ。作品は大きくてスタイロフォームに陶片を張り付けているようだ。「幼い頃に出会った、夏の少しジメジメした部屋の窓際に佇む女性。それは背中を向け、表情も伝わらない」と書いている。近づいて見れば枯木の肌のような陶片にびっしりと覆われているが、その形は素朴で何か造形の原型のような親しさを感じる。無条件に好感を憶える。とても印象深い作品だ。
關(せき)尚代は1997年、埼玉県生まれ。2つの作品を出品している。「つい」と題された黒い作品は鳥の手羽先から型を取ったものだという。關は「貴重な手羽先への、感謝や尊さ、哀悼の意を装飾によって表現したい」と書いているが、何かおどろおどろしいものを感じる造形だ。どこか性的なものさえ感じられる。
もう一つの作品は、キャベツから型を取り、その上に細長い犬を乗せているらしい。手羽先やキャベツの型を造形の大きな要素にしているなんて非凡な感性を感じさせる作家だ。
鈴木希果は1998年、東京都生まれ。平面にさまざまな形の小片を貼り付けている。人の生命性のポートレートを描いていると書く。
百崎優花は1997年、兵庫県生まれ。かなりユニークな作品を展示している。立体的なタイルを意識しているようだ。
佐藤優衣は1999年、福島生まれ。芯に針金を入れて枝が可動式の盆栽を作っている。
木村佳奈は1998年、埼玉県生まれ。小さな作品だが、蓋が外れたり、スライドしたり、ネジになっていて上下を外すことができる作品を展示している。焼き締められて収縮する陶でこのようなものを作るのは技術的に難しいに違いない。
「たまびやき」の展覧会は、いつも陶で非実用的なオブジェを作って見せてくれてとても楽しい。毎年楽しみにしている。
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「たまびやき」
2019年9月23日(月)-9月28日(土)
11:00-18:30(最終日17:00まで)
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ギャラリーなつか
東京都中央区京橋3-4-2 フォーチュンビル1F
電話03-6265-1889
http://gnatsuka.com/