世田谷美術館の向井潤吉展を見る


 東京の世田谷美術館で向井潤吉展が開かれている(11月4日まで)。標題が「民家の画家向井潤吉 人物交流記」、向井の若い時から晩年までの作品を並べ、民家の画家と言われるまでの画業を見せている。パリでの修業時代の模写の上手いことに驚いた。戦争画も描いていたが、戦後それを恥じて一切封印していた。標題の「〜人物交流記」のとおり、向井と付き合いのあった画家たちの作品を並べている。
 向井の作品をまとめてみるのは初めてだった。草屋根の民家を探し歩いて全国を旅して描いている。もう廃屋だろうと思われる民家も少なくない。向井が描かなかったら記録にも残らなかったかもしれない。
 向井の絵はスーパーリアリズムの先駆のようではないかと思っていたが、実際に近くで見ると細部は意外に粗く筆跡が残っており、それが離れて見たときあたかも写真のように見えるのだった。それはとても好ましい発見だった。
 世田谷美術館での向井潤吉展は明日までだが、世田谷美術館分館の向井潤吉アトリエ館では「向井潤吉 民家の旅」という展示を来年3月17日までやっている。

上段3点は向井潤吉
下段左から須田国太郎、都鳥英喜、浅井忠
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民家の画家 向井潤吉 人物交流記
2018年9月8日(土)−11月4日(日)
10:00−18:00(月曜日休館)
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世田谷美術館
電話03−5777−8600(ハローダイヤル)
http://www.setagayaartmuseum.or.jp