東京国立近代美術館の横山大観展を見る


 東京国立近代美術館横山大観展が開かれている(5月27日まで)。美術館のパンフレットより、

横山大観(1868-1958)は、1500点を超える富士の絵を残したことや、40メートル超えの水墨画の画巻《生々流転》を描いたことで知られる、近代日本画壇のトップです。その生誕150年を記念する大回顧展です。……

 以前瀬木慎一が書いた近代日本人画家の評価で、値段で比較したら断トツトップだったのが横山大観だ。日本画の巨匠と言っていいだろう。大観にはとくに興味がなかったが、これも勉強だと思って、また先に古田亮の『横山大観』(中公新書)を読んだことからやはり見に行かなくてはと思ったのだった。古田の本は大観の個々の作品についても見どころを解説してくれる。以下、古田の書より。

屈原
風の吹き荒れる荒野をさまよう伝説的な詩人屈原を描く。左遷された屈原の悲壮な姿は、野に下った岡倉天心を重ね合わせたものだ

「秋色」
俵屋宗達尾形光琳といった琳派の様式を積極的に取り入れたこの作品からは、大観の幅広い古典意識を窺い知ることができる

「群青富士」
大正期の富士は、自由でおおらかな表現が特徴である。金地に白い雲海が広がり、青い富士と緑の山々だけで構成された、スケールの大きな作品


「生々流転」
 私は連休直前に行ったので人出もそこそこだった。この40メートルの巻物もゆっくり進む前の人の後に従って丁寧に見ていくことができた。前の人はフランス人のようで、日本人の女性通訳がフランス語で説明していた。

「海に因む十題 波騒ぐ」
軍用機を献納するために描いた20作のうちのひとつ。なかでもこの作品は複雑な構図と丹念な表現をあわせ持ち、大観の並々ならぬ気魄がこもる

「或る日の太平洋」
この作品が発している只ならぬ雰囲気は、義憤をもって国情を憂う大観の愛国心と無縁ではない。サンフランシスコ講和条約調印直後の日本とアメリカの関係を重ね見ることもできよう

 さて、もらってきた出品作一覧を見ると、展示期間限定の作品が多く、本当は何度か行かないと重要な作品が見られないことが分かった。「山路」も「柳蔭」も「夜桜」も「紅葉」も見ることができなかった。
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横山大観展
2018年4月13日(金)―5月27日(日)
10:00−17:00(金・土は20:00まで)月曜日休館(4/30は開館)
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東京国立近代美術館
東京都千代田区北の丸公園3-1
美術館ホームページ http://www.momat.go.jp