KANZANギャラリーのヨシダ ナギ展を見る


 東京馬喰町のKANZANギャラリーでヨシダ ナギ展が開かれている(2月25日まで)。ヨシダは1986年生まれ、独学で写真を学び、2009年から単身アフリカへ渡り、少数民族をテーマに写真を撮り、写真集を出版し、西武渋谷で写真展を開いた新進の女性カメラマンだ。
 ヨシダは被写体のアフリカ少数民族と同じごはんを食べ、ナミビアでは全身に赤土を塗り、カメルーンでは葉っぱをパンツがわりにもした。つまり彼らと同じ裸になって仲間になり、よそ行きでないアフリカ少数民族の姿を撮影することに成功した。KANZANギャラリーでは2年前に続いて2回目の個展になる。






 前回同様、アフリカの様々な少数民族のハレの姿をとらえている。それが前回ほどワクワクしないのはなぜだろう。ヨシダは文化人類学者ではない。少数民族に関する文化人類学的な視点はない。それがハレの姿しか撮らないことにも通じている。撮影された少数民族の表層以上の深まりがない。だが、前回との一番の違いは、写真にヨシダが登場していないことだろう。前回は少数民族にヨシダが混ざって一緒に写っていた。それがないと、アフリカの少数民族の単なる(ハレの日の)ファッション写真に過ぎなくなってしまう。そして彼らの文化に踏み込んだ記述を知りたいという希望は肩透かしをされてしまう。
 期待が大きっただけに不満の残る写真展だった。4月には西武デパート渋谷店で個展が開かれるようだ。どんな展示になるのだろう。
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ヨシダ ナギ展
2018年2月2日(土)―2月25日(日)
12:00−19:30(日曜17:00まで)月曜日定休
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Kanzanギャラリー
東京都千代田区東神田1-3-4 KTビル2F
電話03-6240-9807
http://www.kanzan-g.jp
※今回は入口で靴を脱ぐ必要がない。