いりや画廊の小高一民彫刻展「空・母」を見る

 東京台東区の地下鉄入谷駅近く、いりや画廊で小高一民彫刻展「空・母」が開かれている(12月12日まで)。小高は1967年、埼玉県加須市生まれ。1991年に東京芸術大学美術学部彫刻科を卒業し、さらに2005年に大正大学仏教学研究科真言学専攻修士課程を修了している。初個展は1996年ときわ画廊、その後プラザギャラリー、メタルアートミュージアムなどで個展を行っている。現在僧侶でもあるという。



 画廊には真っ赤に塗られた巨大な立体作品が展示されている。奥行きは数メートルはあろうか。作家に訊くとFRPで作られているという。これは一体なんだろう。「空・母」と題されているが、空母ではあるまい。色即是空の空だろうか。天狗の鼻のようなものが前に向かって伸びている。象の鼻を連想する。左右に楕円の球形が2つ置かれていて、奥の本体のようなものからは蔓のような髯のような形が伸びている。
 もしかするとペニスか、あるいは子宮かとも思った。ペニスなら2つの球体は睾丸だし、子宮ならそれは卵巣に当たるのだろうか。作家が何を意図しているのか分からないが、ロールシャッハテスト同様、見る者の心で様々なことを連想する。ペニスや子宮と見た者は、そのことが彼の関心の重要な部分を成しているのかもしれない。あれ、彼って誰だっけ?
 奇妙でとても面白い造形だ。個展の会期は2週間もある。ぜひ実物を見てほしい。
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小高一民彫刻展「空・母」
2015年11月30日(月)〜12月12日(土)
11:30〜19:30(最終日16:00まで)日曜休廊
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いりや画廊
東京都台東区北上野2-30-2
電話03-6802-8122
http://www7b.biglobe.ne.jp/~gallery_iriya/
東京メトロ日比谷線入谷駅1番出口より徒歩1分