どうして男たちは巨乳を好むのかーー巨乳論の試み(再録)

 7年半前の2007年6月20日に「どうして男たちは巨乳を好むのかーー巨乳論の試み」を書いてこのブログにアップした。そこそこの反響ももらったが、あれからだいぶ経っているので、ここにそのままの形で再録した。巨乳好みについて正確に分析したのは私が初めてだったと自負している。
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 男性向け雑誌を見れば巨乳の水着写真やらヌード写真が溢れている。男たちに質問すればかなりの男が巨乳を好むと答えるのではないか。どうしてこんなことになったのだろう。古くはギリシャ彫刻を見ても、ルネッサンス美術も、マニエリスムの絵画も、アングルの泉も、印象主義ルノワールも、日本の浮世絵でも、女性たちの胸は大きくない。少なくとも巨乳ではない。一体いつから、そしてなぜ男たちは巨乳を好むようになったのか。
 日本では戦後、欧米では戦前からだ。巨乳の歴史は新しい。
 さて、この大戦前後に何が起こったのか。まず20世紀前半フランスやアメリカでセクシーなイラストが流行した。第二次大戦でアメリカの兵士たちはそれを軍隊に持ち込んだ。セクシーガールのイラストを壁に止めたのでピンナップガールと呼ばれた。ハリウッドでもグラマーな女優たちをスターに採用した。ベティ・グレーブル、マリリン・モンロージェーン・マンスフィールドベティ・ペイジなどだ。日本では前田通子とか、団令子とか、少し遅れてアグネス・ラムが登場した。アグネス・ラムから日本の巨乳ブームが始まったと言っていいだろう。
 大戦前後に起こったこと、それは映画や雑誌を通じて簡単に女性の水着やヌードが見られるようになったことだ。ヌード写真が街に氾濫した。男たちはこぞって雑誌を買い、映画館に入った。日本では平凡パンチが創刊され、少し遅れて日本版プレイボーイも発行された。女性の裸が日常的にたやすく見られるようになった。しかし、見られるようになったが、触れるようにはならなかった。

 ここにグラフを示した。横軸は女性の胸の大きさを表し、右にいくほど胸が大きいとする。縦軸は男の満足度を表し、上にいくほど満足度が高いとする。Aの曲線は男が女性の胸に触ったときの男の満足度を、Bの曲線は男が女性の胸を見たときの満足度を表している。
 Bの曲線を見ると、男が女性の胸を見るときは女性の胸が大きいほど男の満足度も大きくなっている。それに対して男が女性の胸に触ったとき、つまりAの曲線は女性の胸が大きくても小さくても男の満足度に大きな違いはないことを表している。注目すべきことは、触ったときの満足度は見たときの満足度に比べてはるかに大きいことだ。男は女性の胸に触れば、胸が小さかろうと大きかろうととにかく嬉しいものなのだ。
 昔は女性の胸を見るときは触るときと一緒だった。見るだけなどという状況は普通なかった。見ることと触ることは分裂していなかった。触ることができればその胸が大きくても小さくても満足したのだった。ところが映画や雑誌のグラビアなど、単に見るだけになったときには、胸の大きい方がつまり巨乳の方が男の満足度を満たしたのだ。巨乳は正に映画や写真が発達した現代の見るだけの文化の落とし子だったのだ。


 女性の皆さん、あなたが女優やアイドルでない限り、胸が小さいと悩む必要はない。あなたの胸が見られるのは、せいぜい海かプールだろう。見るだけで触ることができないのはあなたにとって他人に過ぎない。あなたの恋人や夫はあなたの胸に触ることができる。触れば男は嬉しいのだ、満足するのだ、だから何も悩むことはない。
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 初出のページを下に示した。6つほどのコメントが付けられている。ブックマークにコメントが書かれているのもあった。興味があればそちらも見てください。
どうして男たちは巨乳を好むのかーー巨乳論の試み(2007年6月20日