損保ジャパン東郷青児美術館の「クインテット−五つ星の作家たち」を見る


 東京新宿の損保ジャパン東郷青児美術館で「クインテット−五つ星の作家たち」展が開かれている(2月16日まで)。そのちらしから。

 国内外の美術展企画展などで作品を発表している作家5人を選び、「クインテット」(五重奏)と題するシリーズ展覧会を開催いたします。日々研鑽を積み、継続的な作品発表の実績があり、"風景"をテーマに制作している5作家、児玉靖枝、川田祐子、金田実生、森川美紀、浅見貴子の様々な手法で捉えた作品をご紹介する展覧会です。(後略)

 シリーズ展覧会と言うからには、今後同じ様な企画を考えているのだろう。オープニングレセプションに招かれて行ったら、主宰者が1万人の入場者数を目標にしていると挨拶した。児玉が海や林を描き、浅見が樹木を描いているとはいえ、5人の作風はほとんど抽象に近いだろう。世の中具象一辺倒という印象があるなかで、今回の企画は大変意欲的なものだとまずは賞賛したい。それに付け加えて言えば、シリーズの最初としては多少なりとも地味ではなかったかと思われる。たしかに選ばれた作家たちは中堅の実力者たちだ。良い作家であることに異論はない。ただ、世阿弥のいう「花」が少ないという感想を持ったのだ。事実、期間中の中頃再訪したが観客は数えるほどしかいなかった。
 女性作家ばかり5人というのは良いとしても、この5人の作家たちを同時に企画するのではなく、何回かの企画に分けた方が良かったのではないか。世阿弥の「花」ということを重視して、"風景"をテーマに制作している抽象的な作風の作家たちから考えれば、私だったら日高理恵子や野沢二郎、母袋俊也、中津川浩章、堀由樹子らの名前を思いつく。浅見貴子にこの5人を加えて「セクステット(六重奏)−−六つ星の作家たち」として企画すれば花もあったのにと惜しまれる。

児玉靖枝


川田祐子


金田実生


森川美紀


浅見貴子
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クインテット−五つ星の作家たち」
2014年1月11日(土)−2月16日(日)
10:00−18:00(月曜日休館)
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損保ジャパン東郷青児美術館
東京都新宿区西新宿1-26-1 損保ジャパン本社ビル42階
電話03-5777-8600(ハローダイヤル)
http://www.sompo-japan.co.jp/museum/