損保ジャパン日本興亜美術館「クインテットII−五つ星の作家たち」の平体文枝が良い


 東京新宿の東郷青児記念 損保ジャパン日本興亜美術館で「クインテットII−五つ星の作家たち」展が開かれている(2月15日まで)。5人の作家なのでクインテット(五重奏)。具体的には、富岡直子、平体文枝、岩尾恵都子、水村綾子、山本晶の5人。昨年の「クインテット」も5人の抽象の女性作家だった。女性抽象作家というのが隠れたコンセプトなのだろうか。
 展覧会のちらしから、

5人の作家たちは、日常生活の中で接する景観の中で、光、風、音、天候、雰囲気、そして作家の記憶や心の変化などを、豊かな感性で形象化しています。それらはもともと形容化することが難しいモチーフでもあり、抽象的で「色彩」を意識した「心象風景」になります。(後略)







 5人の中では平体文枝が一番良かった。平体は石川県能登町生まれ、1989年に筑波大学芸術専門学群美術専攻を卒業している。2002〜2003年に文化庁派遣芸術家在外研修員としてベルギー王立芸術アカデミー・ゲントに在籍した。
 平体の作品は強い線に特徴がある。自在に引かれた線が雲や木々などの形を表したり、具体的には何も表すことなくただ造形のためだけだったりしている。それらの豊かで雄弁な線の表現がすばらしい。また色彩の表現にも優れている。
 会場にはシルクスクリーンの小さな作品も並べられていた。5段5列で25点が展示されている。これがすばらしい。多様で変化に富み見応えがある。このように多様な表現ができる画家といえば、大沢昌助や深沢軍治を思い出す。即ち、これは誰でもできることではないのだ。それだけでも優れた作家だと言える。
 昨年に続いて2回目の「クインテット」だけれど、美術館の名前が、損保ジャパン東郷青児美術館から東郷青児記念 損保ジャパン日本興亜美術館に変わっていた。
       ・
クインテットII−五つ星の作家たち」
2015年1月10日(土)−2月15日(日)
10:00−18:00(月曜日休館)
       ・
東郷青児記念 損保ジャパン日本興亜美術館
東京都新宿区西新宿1-26-1 損保ジャパン本社ビル42階
電話03-5777-8600(ハローダイヤル)
http://www.sjnk-museum.org/