Oギャラリーの川城夏未展を見る

 東京銀座のOギャラリーで川城夏未展が開かれている(3月5日まで)。川城は、1968年神奈川県茅ケ崎市生まれ。1992年女子美術大学洋画科卒業、1995年東京藝術大学大学院油画科修了。1998年ウインドゥギャラリーで初個展、以来数多くの個展を重ねてきている。今年は損保ジャパン日本興亜美術館での「クインテットIII」にも選ばれている。
 川城はずっと赤1色の色面で構成する作品を作ってきた。ときにわずかに赤の濃淡があるものの、いわば川城レッドとも言いうる明るいえんじ色を使ってきた。それが「クインテット」で発表し、今回も展示している縦長の作品で初めて形が現れている。川城に訊くとこれはクロッカスだという。自然に形が現れたのだそうだ。ほかにも木の枝みたいな形が描かれている作品もあった。従来どおりの色面だけの作品も並んでいる。形が現れたことに川城自身が戸惑っているような様子もあった。

▲クロッカスが描かれている作品(写真では分かりづらいかもしれない)




 しかし、抽象を描いていた画家の画面に具象的な形が現れたとき、それはたいてい成功しているような印象がある。中津川浩章がそうだったし、浅見貴子の場合もそうだった。母袋俊也の場合はコンセプチュアル・アートだから形が現れてもあまり影響はない。赤塚祐二はあまり成功していないのではないか。
 今回の川城の場合は、新しい展開になりそうな気がする。初個展からほぼ20年目、彼女の変貌の瞬間に立ち会っているのではないだろうか。
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川城夏未展
2017年2月27日(月)−3月5日(日)
12:00〜20:00(日曜日11:00〜16:00まで)
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Oギャラリー
東京都中央区銀座1-4-9 第一田村ビル3F
電話03-3567-7772
http://www4.big.or.jp/~ogallery/