スカイ・ザ・バスハウスの平野薫展を見る


 JR山手線を日暮里で降り、谷中の墓地を抜けてスカイ・ザ・バスハウス SCAI THE BATHHOUSE へ行く。昔銭湯だった建物を白石コンテンポラリーアートがギャラリーに改造したもの。白石さんはフジテレビギャラリー出身。フジテレビギャラリー出身のギャラリストは多い。
 現在ここでは平野薫展が開かれている(7月28日まで)。平野は1975年長崎県生まれ、2003年に広島市立大学大学院芸術学研究科を修了している。2004年7月ギャラリイKで初個展、2007年に資生堂art egg賞を受賞している。現在はドイツを拠点に活動しているという。
 今回の展示はレンタルショップのウェディングドレスを使っている。何人もの花嫁が着たドレスをほぐし、それを再びレースのようなドレス状に作り直している。最初のギャラリイKでの個展でもシャツだったかブラウスだったかを解いて糸の広がりにするインスタレーションを行っていた。いわば個の歴史を解体して普遍的なものに仕立て直しているというような。
 以前、平野についてここに書いたことがある。

2年前銀座のギャラリィKで初めて彼女の個展を見た。床一面にシャツをほぐして粗い刺繍のようになった糸が拡がっていた。その時はそのようなオブジェの展示かと思った。間もなく外から作家が帰って来て画廊の片隅に腰掛け、ゆっくりシャツの続きをほぐし始めた。それを見てシャツが糸に帰っていくことを表現しているのだと思った。死者が土に還っていくことを連想して涙が出た。
平野薫のインスタレーション(2006年10月15日)

 ギャラリーは日暮里駅から徒歩数分。谷中の墓地を散策しながら行くのはなかなか楽しい。
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平野薫展"Re-Dress"
2012年6月29日(金)−7月28日(土)
12:00−18:00(日・月・祝 休廊)
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SCAI THE BATHHOUSE(スカイ・ザ・バスハウス)
東京都台東区谷中6-1-23 柏湯跡
電話03-3821-1144
http://www.scaithebathhouse.com/ja/