ミヅマアートギャラリーの会田誠展「絵バカ」

 市ヶ谷に新規開廊したミヅマアートギャラリー会田誠展「絵バカ」を開催している(6月5日まで)。朝日新聞の5月19日夕刊で、先日紹介したギャラリーQの石田徹也展とともに、西田健作が大きく取り上げている。
 大きな作品「灰色の山」は無数の男たちが積み重なっている。西田の文を引けば、

 縦3メートル、横7メートルの巨大な画面に、サラリーマンの死体とOA機器がうずたかく積み重なる。昨年夏から北京で半年間、ひたすら手を動かして描いた作品だ。
 会田は群像表現に繰り返し取り組んできた。この作品は無数の少女を描いた「ジューサーミキサー」(2001年)と対になる。

 ほかに油彩画「1+1=2」という作品があり、これを表現主義的に荒っぽい筆致で描いている。またそれは同時に数字を描いたジャスパー・ジョーンズの作品の引用、またはパロディでもあるのだろう。
 もう1点の巨大な作品「万札地肥痩相見図」は大きい1万円札を「金箔のように並べ」(西田による)ている。これは何だかよく分からなかった。
 入口すぐには会田特有の毒のある作品が展示されている。ビデオ作品で、モニターには芸大で学ぶ二人の女子学生が全裸で「一つよかまん、なんじゃろな」と踊っている。これは本来、男が1升瓶を使って「一つよかちん、なんじゃろな」と踊る宴会芸だ。素面の女子大生がカメラに向かってこれを踊っていることに痛々しいものを感じないではいられなかった。
 有楽町の高橋コレクション日比谷ではちょうど会田の「ジューサーミキサー」が展示されている。併せて見れば興味深いだろう。会田の毒にはしばしば辟易させられるが、作家としては村上隆奈良美智より大きな存在であることは間違いないだろう。


会田誠展「絵バカ」
5月6日(木)ー6月5日(土)
11:00ー19:00 日・月・祝日 休廊
ミヅマアートギャラリー
東京都新宿区市谷田町3-13 神楽ビル2F
電話03-3268-2500
http://www.mizuma-art.co.jp/top.php