コバヤシ画廊の西成田洋子展、その奇妙な形

 銀座3丁目のコバヤシ画廊で先週西成田洋子展「記憶の領域2010」が開かれていた。西成田は1953年茨城県生まれ、1987年より東京、水戸、ニューヨークなどでもう30回も個展を開いている。




 作品は大人の背丈ほどもある奇妙な立体で、古着などを縫い合わせて造形していくのだという。何かSF映画に登場する怪獣を思わせないでもない。あちこちに穿たれた穴が眼や口や鼻に見えなくもないが、かといって具体的な何かを現していると断定するのも難しい。「記憶の領域」というタイトルから、もしかしたら作家の情念を造形化したのだろうか。
 私たちは西成田の作品の表面の構造の類似から篠原有司男の作品を連想するかもしれないが、篠原の作品の疾駆するオートバイに乗るライダーの目玉が交通事故の被害者のように跳びだし、無残な表情を晒しているのと、この西成田の作品の不思議な静謐さとは全く違うものだ。
 西成田の30回の個展のうち、私はやっと90年代前半頃からの10回ほどを見たに過ぎないが、毎回似たような形態が徐々に純化してきているような印象がある。純化というのはよけいな夾雑物が削がれてきているという意味だ。いつも見るのが楽しみな作家の一人だ。


西成田洋子展「記憶の領域2010」
2010年5月10日(月)−22日(土)
コバヤシ画廊
東京都中央区銀座3-8-12 ヤマトビルB1F
電話03-3561-0515
http://www.gallerykobayashi.jp/