女子のモテ術、「悩みのるつぼ」

 朝日新聞土曜日恒例の相談室「悩みのるつぼ」、今回は25歳女性会社員からの「モテたくて不安です」の悩みに上野千鶴子が答えている。

 25歳の女性です。
 私は生まれてから今まで男性と交際したことはおろか、告白されたことすらありません。
 容姿は可愛いとはいえないでしょうが、並で、ファッションやメークにはかなり気をつかっています。スタイルは良いとよく言われます。性格も良く、優しい子だと周りから思われているようです。手作りの菓子を職場の人に差し入れたりして、料理、掃除も得意なほうです。
 不特定多数の男性にちやほやされたいという浅ましい願望を抱いているのではありません。ただ人並み程度に、自分に好意を寄せてくれる異性が1人か2人くらい現れてもいいのにと思うのです。でも、自分でも不思議なくらい、全く異性に縁がないのです。何か恋愛に関して呪われていて、神社におはらいに行ったほうがいいのではないか、と思うくらいです。
 私は異性に声をかけてもらえるようなイイ女になろうと日々努力をしています。恋愛に関するメルマガを購読し、恋愛本を幾冊か読み、男性心理を勉強し、男性に好かれるしぐさや言動をし、見た目にも気をつけ、少しでも可愛くなろうと、いろいろ実践してきました。
 しかし、何の効果もありません。25歳にもなって、異性との経験が全くないなんて、人間としてどうなんだろうと、疑問と不安と自己卑下の毎日です。どうしてモテないのでしょうか。

 いや、おもしろくて相談の全文を写してしまった。社会学者 上野千鶴子はどう答えるのか。

 25歳ですか。モテ相談ですか。よくある相談ですが、いやはや、カンチガイ相談というほかありませんね。
「自分に好意を寄せてくれる異性」が1人くらいいてもよいのに、とありますが、25年のあいだに、「あなたから好意を寄せた異性」が1人くらいいましたか? 演歌じゃあるまいし、女は花のように装ってじっと待ってさえいれば、蝶のように男が寄ってきてくれる、と思ってはいませんか? 男は容姿や家事能力や手作りのお菓子に寄ってくる、と本気で思っているんですか?

 そして結婚が目的なら「モテ願望」など持たず、ひたすらお見合い路線の「婚活」に励むことだと諭す。異性に関心を持ってもらいたいなら、まずあなたから関心を持つこと、自分に興味を持たない他人に、人は興味を持ちません。いや、これは至言だ。さすが上野千鶴子。そして、

 それより、男女を問わず、あなたが「お友だちいない系」ではないかと心配になりました。
(中略)
 私の答えは簡単です。これまで異性に関心を持ったことのないあなたは、実は男に興味がないのです。それは欠陥でも何でもありません。たんなる事実です。その事実を認めて、なあーんだ、わたしって男に興味がないんだ、と思えばムダな努力をやめて。もっとラクに生きられます。

 いや、上野さんそれは違うだろう。相談者は男に強い興味があるのだ。それを大前提に据えなければ回答は的外れになってしまう。
 とてもきれいなK子さんの話。知らない男の人が突然目の前に飛び出してきて好きだなんて言われても迷惑なのよねえ。男に興味がないというM子さんの話。付き合ってなんて言うカンチガイ男が多くって。彼女たちは何も努力しないのに、見知らぬ男たちから告白されている。M子さんは付き合っている異性がいないという。どうして? 私がまだ発情していないからじゃない。
 昔、雑誌「Weeklyぴあ」の投稿欄「はみだしYOUとPIA」に、女性の投稿で、自分は特別きれいではないけれど、知り合った男たちに片端から声をかけて付き合った、結果いい旦那さんにも恵まれて幸せな結婚をしているというものだった。この辺が有効な回答ではないだろうか。