川越市立美術館に行って長沢秀之展を見る

 川越市立美術館で長沢秀之展を見た(9月12日まで)。長沢は1947年生まれ、現在武蔵野美術大学の教授だ。私の好きな沓澤貴子の師でもある。狭山市に生まれ名門川越高校を卒業していることで今回「川越の美術家たち」の企画に選ばれた。
 一応回顧展を謳っているが大きな会場ではないので初期からきちんと網羅されているわけではなく、最近作の重点が高い。長沢は年齢的にも抽象表現主義の世界に生まれ落ちていて、終始その土俵内で表現をしている。私は長沢をたくさん見ているわけではないが、1990年代の南天子画廊(南天子画廊SOKOを除く)および村山画廊と今年のギャラリーMoMoを見てきている。それに今回の回顧展だ。
 一番良かったのが1999年の南天子画廊での個展ではなかったか。それまで何度か見ていた長沢秀之がこんなに良かったのかと驚いた記憶がある。それを画廊のスタッフに伝えると、先生も長いトンネルを抜けたようですと言われていましたと話してくれた。野見山暁治の後継者が生まれましたねと生意気を言ったのだった。
 それがその後の村山画廊では作風が変わっていて驚いた。今に続いている水玉のような作品になったのだ。さらに今回見た最新作では少し具象が現れている(「大きいコドモ」2007)。模索しているのだろうか。
 気になる作家の一人だ。これからどんな風に変わっていくのか見続けていたい。

(1999年南天子画廊で発表した作品)

「大きいコドモ」(2007年)

(2007年頃)

(水玉の作品)