人前で語るには恥ずかしい言葉を乱発して(大山鳴動)

 こんな当たり前のことをわざわざ書くのもどうかと思うが、自分では気が付いていなくてそれなりに新鮮だったので、同じ人もいるのではないかとあえて書いてみる。
 普通の状態のペニスを刺激しても快感は感じられない。ペニスが勃起して初めて快感を感じる神経が発動するのだ。考えてみればこれはよくできている仕組みで、普通の状態で快感を感じてしまっては日常生活に差し障りがあるだろう。
 これから女性とベッドインするという時はたいてい自然に勃起する。しかし、日常ではそうではない。例えばしばらく射精する機会がないとむらむらしてきてしまう。性欲が高まる。男たちはこれを即物的に「貯まっている」と言う。貯まっているのは精液だ。これを簡単に解放するにはオナニーをするが、そのためにはまずペニスを勃起させる必要がある。勃起しないと刺激を加えても快感が得られない。つまり性欲の高まり、即勃起ではないのだ。この勃起を起こさせるためにヌード写真とかアダルトビデオ、またはポルノ小説とかの小道具が必要になってくる。そうやって勃起させて初めて快感が感じられるようになるのだ。
 男はこのように快感を感じる状態が目に見える。それでは女性はどうなのだろう。女性もやはり普通の状態では快感を感じないのだろうか。それはそうだろう。だから普通に自転車に乗っていられるのだ。男と違って女性の場合は変化が小さいので分かりにくかったが、やはりペニスの勃起に相当する器官の膨張があって初めて快感が感じられるのかもしれない。そう考えるとsexのHow to本などに、前戯を十分にとか最初はそっと刺激してとか書かれていることが腑に落ちるのだ。
 お前、いい歳をしてまだそんなものを読んでいるのか。

 マドモアゼル・セスネイ。私はこの白髪の老嬢から週に2回か3回、フランス語を習う生徒だった。(中略)
 幾度もくり返し読んだのだろうが、ドストエフスキーをもっと知りたくて彼女は、ロシア語の勉強にとりかかった。ゆっくりと。まるで猫と話すようにだ。その歳で……と私が感心したとき、彼女は本当に怪訝な顔をした。
 え、勉強をするのに年齢があるのか? よけいなことに私は、六十の手習い、という日本の諺を引用したのだ。彼女は、地球のどこかにそんな言葉があるのが不思議でならないようだった。(野見山暁治「遠ざかる景色」(筑摩書房

 もう一度勃起に戻ると、お前なにを当たり前のことをごたごた書いているのだと多くの人に言われそうな気がする。ただ自分としてはつい最近やっとこんなことに気づいたので、書いてみたくなったのだ。大山鳴動鼠一匹。


 ネズミと言えば、先日子猫がMacのマウスと遊んでいてマウスを壊してしまった。どうしてマウスがネズミだって分かったんだろう。