尿道カテーテルのやり方

 今冬病を得て病院への入退院を繰り返した。処方された薬の副作用で頑固な便秘になった。それに伴い排尿困難に陥った。お医者さんが、便秘の便が尿道を圧迫しているのだと診断し、尿道カテーテルを使うように看護士さんに指示した。

 尿道カテーテルはペニスの先端から細い管を膀胱まで差し込んで導尿する。看護士さんが処置すると、溜まっていた尿が尿瓶にほとばしり出た。その量が何と1300mlもあった。先生が、もう少しで膀胱破裂だったねと軽く言った。せ、先生! 

 排尿困難はその後も続き、毎回看護士の手を煩わせなければならなかった。しかし注射と違って尿道カテーテルの処置は頻繁にあるわけではなく、慣れない看護士も何人かいた。下手な看護士に当たるとしばしば痛かった。悲鳴をあげたこともあった。ある若い看護士は途中でどうにもならなくなり、私にナースコールを呼ぶよう指示した。呼ばれて来たベテラン看護士の手で無事終わったこともあった。痛かったのは無理に差し込んだためで、尿道が傷ついてしまったようだった。そのため自然に排尿しようとすると沁みて痛く、途中で止まってしまうのだった。尿道カテーテルのお世話にならなければならなかった。

 そんなことが数日続いた後で、今度は自分で処置するよう言われた。恐る恐るやってみると、少しも痛いことなどなく、順調に処置できたのだった。退院してからも排尿のたびにカテーテルを使わなければならなかった。ただ自分でする分には痛みなどはなく、面倒なこと以外にストレスは感じなかった。退院して1週間ほどして自然排尿しても痛みを感じなくなってカテーテルのお世話にならなくて済むようになった。

 その後知った情報によれば勃起しているとカテーテルの挿入に痛みを感じるとあったが、私にはすでにそのような懸念はなくなっていた。

 自分で処置したときに痛みを感じないのは、処置の技術的な問題だと感じた。カテーテルの管の先端に潤滑剤をたっぷり塗り、ペニスの頭をつまんで体に直角に立て、尿道口からゆっくり挿入すればするりと簡単に入る。カテーテルが膀胱に到達すると尿が流れ出てくる。

 このやり方を動画に撮ってYou Tubeにアップすれば慣れない看護士さんたちの参考になり、痛みに苦しむ患者も減るのではないかと娘に相談した。娘の答えはアカウントを凍結されちゃうよ、だった。