中沢研展

銀座1丁目のギャラリー現で開かれている中沢研展を見る。


鉄線によるインスタレーション
細長い鉄線を2本立てその頭を短い鉄線でつなぎ「コ」の字を立てたユニットを多数作る。
細い針金のような鉄線を天井近くに何本も平行に渡し、それにコの字のユニットを固定する。
細長い鉄線は微妙に曲がっていて、作品の周囲を歩くと鉄線が重なったり離れたりして表情が変わる。


中沢の作品は川村直子を連想させたが、この表情が変わるという点で、完全に作家が作品をコントロールしている川村直子の作品と大きく異なる。


青木野枝の強固な造形とも隔たりは大きい。


意外と近親性を感じさせるのが昨年亡くなった吉田哲也だ。
中沢の鉄線の微妙な曲がり具合や、今回の個展で壁面に展示された小さな作品は、中沢が吉田と共有しているものがあることを確信させる。
しかし、吉田が内向し作品を凝縮させミニマルへと向かったのに対し、中沢の作品は明るく開放的で、それが二人の作風を大きく分け隔てているようだ。


今回の中沢研の作品は今までで最も完成度が高い優れたインスタレーションだと思う。