山本弘の作品解説(105)「人柱像」

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 山本弘「人柱像」、油彩、(83.0×63.1cm)

 昭和27年(1952年)制作。山本弘22歳。ごく若いころの作品だ。当時の作品はあまり残っていないから貴重だ。裏面に紙が貼られていて、次のように書かれている。

 

行くやかたもなく

帰る床も知らず

只酔ひ痴れて

ぬばたまのすみを

ながめる

一九五二年九月

 飯田市浜井町

 (弘写)

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 暗いやにっぽい色で描かれている。若いころはこんな色を使っていたのか。私もあまり見たことがなかった。

 なお、1985年に開かれた「遺作展 山本弘」のカタログには昭和41年制作、F6号とあるが、間違いだと思う。

 裏面に飯田市浜井町とあるのは、当時山本が住んでいたところだろう。

        (飯田市美術博物館 蔵)