eitoeikoの千葉大二郎個展「期待される人間像」を見る

 東京神楽坂のeitoeikoで千葉大二郎個展「期待される人間像」が開かれている(10月5日まで)。千葉は1992年鹿児島県奄美生まれ、2014年多摩美術大学絵画科日本画専攻を卒業し、2016年に東京藝術大学大学院美術研究科修士課程日本画専攻を修了している。つい最近もアキバタマビ21の「絵画たらしめる」のグループ展に参加していた。

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 個展のテーマは「期待される人間像」、これは道徳教育の標語だった。千葉は道徳教育を批判的に表現している。白抜きされた人物は木口小平で、日清戦争で戦死した陸軍兵士だ。ラッパ手として死んでもラッパを手放さなかったと、戦前の修身教科書に載っていて有名な人物だったが、戦後はほとんど忘れられている。道徳は時代によって変化するのだ。
 木口小平の周囲には小品が置かれていて、それは「孝」「忠」「禮」「恥」「義」「悌」「廉」「信」という8つの文字を鏡文字にしてさらに上下をひっくり返している。儒学の八徳を表しているという。

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 大きな作品「八犬伝DF」は全体が撮影できなかったので、先月外神田の3331アーツ千代田にあるアキバタマビ21で展示されていた同じ作品を撮影したものに代えた。これについて画廊のプレスリリースを引用する。

……「八犬伝DF」では、千葉は道徳の象徴たる文字や出来事を絵画に落とし込みます。作家が考案した規範=ルールに則って描かれた画面には、クロスワードパズルを連想させる四角い空白が現れます。空白はその中身が 代入可能であることを暗示し、理想というものが相対的、流動的であることを示しています。一方で、コントロールされることへの高揚感も画面は持ち合わせています。背景となる緑色の格子模様は、軍服の迷彩模様がファッションとして消費されて いく社会の中で、21世紀に生まれたデジタルフローラ迷彩が曲亭馬琴の仁義八行と二次元の世界で出会ったとき、道徳概念自体のキャラ化=擬人化がブラウザクラッシュとともに始まることを予兆するかのようです。ほかに、朝鮮民画の文字図や、日 清戦争でラッパを口から離さずに戦死したといわれるラッパ手、木口小平をモチーフにしたガラス絵など、本展では、道徳心の所在を主題にした平面作品を発表いたします

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千葉大二郎個展「期待される人間像」
2019年9月14日(土)-10月5日(土)
12:00-19:00(日月休廊)
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eitoeiko
東京都新宿区矢来町32-2
電話03-6873-3830
http://www.eitoeiko.com
※神楽坂の矢来公園すぐ近く