コバヤシ画廊の西成田洋子展「記憶の領域2013」を見る

 東京銀座のコバヤシ画廊で西成田洋子展「記憶の領域2013」が開かれている(11月23日まで)。西成田は1953年茨城県生まれ、1987年より東京、水戸、ニューヨークなどでもう30回以上も個展を開いている。作品は大きな奇妙な立体で、古着などを縫い合わせて造形していくのだという。







 今年は床に大きな立体が2点、壁にも2点、それに平面作品が1点展示されている。毎年同じように作っているらしいが、今年の作品は違っていた。まるで今までの作品が、今回の作品を産むための習作だったかと思えるほど、高い完成度を示している。ほとんど習作と完成品ほどの差が感じられる。作家が飛躍した瞬間が見られると言っても良いほどだ。
 とくに床に置かれた2点が際立っている。ぐじゃぐじゃしたものを中に包んで、粗い皺のよった布状のもので覆っている。一緒に見ていた方が、軟体動物の貝の水管がミイラになったみたいだと言う。何か動物の内蔵みたいなものが、硬化しているようにも見える。ただ、それは何に似ているか、何に見えるかと問われたときの答で、作品は直接それらを示しているわけではない。
 とはいうものの、タイトルにある「記憶の領域」が暗示するように、暗喩としての内蔵とか、無意識層などを否定するものではない。純粋な造形というよりも、象徴的なものを示しているのではないか。と同時に、今回の作品が造形的にも洗練されている(!)ことが、強い印象を与えているように思える。
 ここ3年間の個展を紹介したエントリーは次のとおり。
コバヤシ画廊の西成田洋子展「記憶の領域2012」を見る(2012年9月21日)
コバヤシ画廊の西成田洋子展「記憶の領域2011」(2011年9月20日
コバヤシ画廊の西成田洋子展、その奇妙な形(2010年5月23日)
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西成田洋子展「記憶の領域2013」
2013年11月18日(月)−11月23日(土)
11:30〜19:00(最終日は17:00まで)
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コバヤシ画廊
東京都中央区銀座3-8-12 ヤマトビルB1F
電話03-3561-0515
http://www.gallerykobayashi.jp/