東京銀座1丁目のギャラリーゴトウで「いのち 生命 人・顔」という企画展があった(10月20日まで)。青木進が企画したこのグループ展に岩坪賢が参加していた。岩坪賢は2009年のアートスペース羅針盤の初個展で優れた作品を展示していた。そして、その年の「損保ジャパン美術財団 選抜奨励展」にも選ばれたのだった。
それが2010年と2011年の柴田悦子画廊の個展ではスランプだったようだ。2009年の発表の評価があまりに高く、それがプレッシャーだったのかもしれない。2010年の個展のときに岩坪に話したことを思い出す。見る側はその作家の最も良かった展示を憶えていて、それがその作家の実力だと思う。仮にその後以前ほどの完成度が得られなくても、見る側はせいぜい今回は不調なのだと思って、その作家に対する評価を変えることはない。だから、スランプになっても焦らないでゆっくり制作を続けてゆけばいいんだ。2011年の個展ではドローイングというよりもエスキースといった小品が並べられただけだった。作家は辛いのだろうな。
それが今回の展示を見て驚いた。良いドローイングが並べられていた。岩坪は確実に復活しつつある。来年の個展を楽しみにできるようだ。
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「いのち 生命 人・顔」
2012年10月15日(月)〜10月20日(土)
11:30−18:30(最終日は16:30まで)
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ギャラリーゴトウ
東京都中央区銀座1-7-5 中央通りビル7F
電話03-6410-8881
http://www.gallery-goto.com