29年ぶりに常用漢字表が改定され196字が追加された。「虎」とか「熊」「鹿」「亀」「嵐」「岡」「俺」「柿」「蔑」も追加された。今まで虎の門も岡山も亀戸も熊本も使えなかったのか。「尻」が使えるようになって、オカマの恋人同士が「あなたの尻が忘れられない」というメールを書けるようになったし、ゴダールの映画のタイトルも「軽べつ」でなく、ちゃんと「軽蔑」と表記できるようになった。「勃」が使えるようになったので、新聞社も正々堂々と「勃起」という言葉が使えるようになった。エミリ・ブロンテも「あらしが丘」でなく「嵐が丘」とされて喜んでいるだろう。警視庁もこれで堂々と「おれおれ詐欺」でなく「俺々詐欺」と言えるようになったのだ。さて「蜜」が今まで使えなかったとは知らなかった。これでようやく官能小説で「秘蜜」という言葉を使うことができるのだ。「秘密」の間違いじゃないかって? 官能小説では秘蜜に決まっているじゃないですか。秘密な蜜ですよ。
参考までに、
・奇書「教養としての官能小説案内」(2010年10月6日)
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そういえば、官能小説作家で有名な勝目梓の新作「死支度」(講談社)が朝日新聞の逢坂剛の書評で高く評価されていた。(2010年12月5日)
語り手の〈儂=わし〉は99歳。老人用施設に収容された109歳を自称するボケ老人。もっとも当人はボケているとは思っておらず、延々と性にまつわる妄想譚を、7話にわたって披露する。(中略)
著者は、透徹した目とたくまざるユーモアで、底知れない性的うんちくを傾ける。しかし、そこにはいやらしさなど、微塵もない。この小説は、いまだ達観の域にいたらぬ著者が、達観した〈儂〉にあこがれつつ書いた〈性的遺書〉、と呼んで差し支えないだろう。
すべての〈儂〉にお薦めしたい、本年の掉尾を飾る佳作だ。
儂も読んでみよう。
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