「やかましい」「うるさい」どう違う?


 新聞に掲載された岩波書店の「岩波国語辞典 第七版」の広告。

「やかましい」「うるさい」どう違う?
かましい【喧しい】《形》1.不快に感ずるほど声・音が大きい。……→うるさい。……
うるさい【煩い・〈五月蠅〉い】《形》1.わずらわしい(感じだ)。面倒で、または、しつこくされて、やりきれない。……▽「やかましい」が外界の状態を言うのに対し、そのやかましさが原因で生ずる心の状態を主とする。……

 なるほど。だが、これは蛇蔵&海野凪子「日本人の知らない日本語」(メディアファクトリー)の新聞広告の二番煎じだ。「日本人の知らない日本語」が面白い(2009年7月19日)
 そちらでは、

「教えて頂けますか」と「教えて下さいませんか」の違いを教えて下さい
とか、
「さしつかえなければ」と「おそれいりますが」の使い分けを教えて下さい

などという秀逸な質問が選ばれていた。単語の選択の面白さにおいて岩波書店は負けている。
 また「頼れる岩国 最新版」というフレーズが使われているが、これまた三省堂の「新明解国語辞典」が「明解三」「明解さん」と呼ばれていたのを思い出す。
 三省堂のこの辞典の初版には面白い解説が満載だった。その一例を、

おやがめ【親亀】親に当たる大きなカメ。「(速口言葉で)……の背中に子ガメを乗せて、子ガメの背中に孫ガメ乗せて、孫ガメの背中にひい孫ガメ乗せて、……こけたら、子ガメ・孫ガメ・ひい孫ガメがこけた」(右の成句にたとえを取って、国語辞書の安易な編集ぶりを痛烈に批判した某誌の記事から、他社の辞書生産の際、そのまま採られる先行辞書にもたとえられる。ただし、某誌の批評がことごとく当たっているかどうかは別問題)

 いや、私は岩波国語辞典の広告のことだけを取り上げているのであって、岩国の内容にケチをつけているのではないので念のため。七版だし、良い辞書だと思う。

岩波 国語辞典 第7版 普通版

岩波 国語辞典 第7版 普通版