雑誌「考える人」春号に高橋悠治へのインタビュー「ピアニストになりたいと思ったことはなかった」が載っている。その中で高橋が昨年フォンテックからモンポウとブゾーニのCDを出したことについて聞かれている。高橋はモンポウの「沈黙の音楽(ひそやかな音楽)」を取り上げて演奏したが、それはなぜかと聞かれて、
それが一番モンポウらしい、というのも変だけどね。「沈黙の音楽」と言われるような、内面的で、しかも遠くを見ているような音楽。協和音でもなく、不協和音でもない独特の響き。自分のために書いた、いわばノートブックものだったから、ある種の純粋なかたちであらわれているなにかがある。音が以前にも増して、少なくなっているし、陰がある。前からそういう音楽が好みで、ブゾーニもそうなんだけど。
と答えている。
モンポウはスペインの作曲家で小品のピアノ曲が多い。フランコを支持していたことは今回初めて知った。
モンポウと言えば、20年ほど前に中原俊監督で撮影された映画「櫻の園」の音楽がモンポウの「ショパンの主題による変奏曲」だった。ピアノを熊本マリが弾いている。最近リメイクされたらしいが、音楽は変わっているだろう。
この「櫻の園」は吉田秋生による同名のマンガを原作としている。女子高の演劇部でチェホフの「桜の園」を上演する物語。吉田秋生に多いホモセクシュアルがテーマの一つだ。
マンガも映画も面白かったが、淀川長治が映画をくそみそにけなしていたのを憶えている。私と淀川の意見が対立したら淀川が正しいだろう。何がいけなかったのか。
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