マンションのエレベーターで棺桶を運ぶには

 若い頃私は横浜市鶴見区に住んでいた。屋台をやっていた頃だ。アパートは鶴見駅の東側、鶴見川の近くにあった。このあたりは鶴見の下町というかドヤ街に近かった。同じ鶴見駅でも西側は山の手で総持寺があり総持寺が経営する鶴見大学がありそして高級住宅街だった。映画評論家の淀川長治の家があったのもこの山の手だ。
 淀川は一人住まいだったので晩年は便利なホテルへ引っ越した。その際エレベーターが広いことを条件にホテルを選んだらしい。ホテルで亡くなることを想定して、棺桶を立てないでもエレベーターに乗せられることが必須の条件だった。
 さて公営住宅のエレベーターはこの点どうなっているか。実はエレベーターが何台もあれば、中の1台は後ろの壁が開いて棺桶を横にしたまま運べるようになっているのだそうだ。
 淀川は結局病院で亡くなったのだったが。