佐々木譲「警官の血」(新潮文庫)を読む。文庫で上下巻の2冊、合計940ページある。戦後の昭和23年に警官になった父と、父の後を継いでやはり警官になった子、その後を継いで警官になった孫の、3代にわたる警官人生を描いている。それぞれの核となる事件が描かれ、なぜか父は不審な死を遂げ、子は自殺かと疑われるような事故に遭い、孫がそれらの事件の解決に挑む。日本のミステリとしては大変おもしろく読んだ。
3代数十年にわたる壮大な事件の歴史だ。ただ900ページを三部に分けるので一部が約300ページとなる。事件の発端から解決までが少々短いという印象を受けるのだ。割合簡単に事件が解決してしまうのではないか。つまり3代の歴史を描くには900ページというのは中途半端なのだ。3人のエピソードを独立させて連作とし、単行本3冊にしてもっと書き込んだ方が良かったのではないか。
赤軍派の事件の解決も、汚濁警官の解明も、あっけなく終わってしまった印象が強い。女が男を変えるのも伏線がほしい。ブランド物に弱かったとか、権力になびきやすいとか。
一方、登場人物が多くないせいもあるが、よく整理されていて誰が誰やら分からなくなるような事はなかった。読みやすいミステリだった。読んで損がないことは保証できる。
- 作者: 佐々木譲
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 2009/12/24
- メディア: 文庫
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