川上宗薫と泉大八はポルノ作家として知られていた。川上宗薫は筋金入りだったと思う。何百人の女性と寝ていて豊富な経験を描いていた。泉大八はそうではなかった。おそらく女性経験も大してなかったのではないか。泉大八の書くポルノ小説からそういう裏付けは感じられなかった。川上は違った。こういう形の顔の女性はこれこれこうである、本当にその通りだった。
川上宗薫が北原武夫同様純文学を目指して挫折したのに対して、泉大八は元来左翼作家だったのだ。どうして左翼作家がポルノを書くのか。それって、転向以上に恥ずかしいことではないのか。下品なものを書いてはいけない。
不思議なことに川上宗薫を下品と思ったことはなかった。