栗山民也「演出家の仕事」(岩波新書)が面白かった。著者は最近まで新国立劇場演劇部門芸術監督を務めていた人。最近もチェーホフを描いた井上ひさしの新作「ロマンス」を演出した。
芝居の演出の現場の具体例が紹介されていて、演出ってこんなに面白く、しかし一方でこんなに難しいんだと教えられた。付録で「ロマンス」の演出日記が付けられている。なるほど三島由紀夫が演出できなかったわけだ。(参考:「三島由紀夫の演出術」)
池田満寿夫の監督した映画「エーゲ海の真珠」も村上龍の監督した映画「限りなく透明に近いブルー」も本当は彼らが演出したのではなく、影で演出したプロがいたに違いない。