遊工房アートスペースの鵜飼美紀展を見る






 東京杉並区善福寺の遊工房アートスペースで鵜飼美紀展が開かれている(11月23日まで)。鵜飼について、ギャラリーのホームページから、

1968年 東京生まれ。1994年 東京藝術大学大学院美術研究科修士課程修了。主にラテックス(液体ゴム)を用いたインスタレーションを制作。薄い皮膜状にラテックスを広げ視界・行動を遮るように配置する。一方で、ガラスの器に水を張るインスタレーションも展開。器に水を表面張力すれすれまで張り、歩行を妨げるように足もとに無数に配す。主な展覧会に1996年「ART TODAY “ひながた“-これは現代美術ではない」セゾン現代美術館、 2000年「鵜飼美紀 restless・restful」静岡県立美術館、2005年「鵜飼美紀+辻和美-光のかけら-」群馬県立館林美術館など。

 以前何度も鵜飼の個展を見てきたが、ここ10年ほど見ていなかった。画廊の話では、子育てでしばらく発表を休んでいたらしい。鵜飼はいつもラテックスを使ったインスタレーションを展開していた。今回もその延長上にある。展示スペースにラテックスのカーテンを引いて、表裏から見ることができるようにしている。やはりホームページに活動プランが提示されている。

Studio2にてラテックス(液体ゴム)を用いたインスタレーションを制作予定。床から立ち上がるように張り巡らされた薄い皮膜状のラテックスにより、うっすらと透けて見える向こう側。微かな風に震え、重力によって少しずつ下方へ伸びてゆく不確定なかたちは視覚に僅かにズレをもたらす。

 鵜飼の作品はもの派の展開なのだろうか。違うだろう。ラテックスという素材は日常的なものではなく、ある種の意味を持っている。その素材の意味が鵜飼の作品にとって大きい。ラテックスは経時的に変化するし、半透明の柔らかい触感の素材である。また膜状のカーテンは空間を分割する。強い意味があるのではないが、無意味でもない。そのことが鵜飼のインスタレーションの不思議な魅力だと思う。
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鵜飼美紀展「ものあい」
2018ン円11月3日(土)−11月23日(金)
12:00−19:00(最終日17:00まで)月・火曜休廊
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遊工房アートスペース
東京都杉並区善福寺3−2−10
電話03−3399−7549
http://www.youkobo.co.jp