桜の害虫


 鉢植えの富士桜の枝に葉がなかった。棒のような枝が立っている。去年鉢植えの富士桜が数本すべて病気になって落葉してしまった。今年も再発したのだろうか、やれやれと思っていた。
 ふと細い幹を見ると変なところに枝が出ている。こんなところに枝なんてあったっけと、それをつまんでみると意外に柔らかかった。虫だった。では病気ではなく、害虫に食べられたのだった。

 尺取虫(シャクトリムシ)の幼虫だ。おそらくエダシャクの一種だろう。それ以上のことは分からない。羽化するまで待って成虫(蛾)を見ればもう少し詳しく分かるかもしれないが、愛する桜のために涙を呑んで犠牲になってもらった。
 エダシャクの分もきれいな花を咲かせるんだぞと富士桜には声をかけて。