東京上野の東京都美術館ギャラリーA・B・Cで荒木珠奈展が開かれている(10月9日まで)。荒木は1970年東京都生まれ、1991年に武蔵野美術大学短期大学部を卒業、1993-94年にメキシコ国立自治大学美術学部で学び、1997年武蔵野美術大学造形学部を卒業している。1999年ギャラリーJinで個展、以来様々なギャラリーや美術館で発表を繰り返している。
私も初期から荒木を見ているが、1998年のギャラリーアート倉庫のインスタレーションが印象に残っている。小舟を展示したインスタレーションだった。
2019年には東京都現代美術館の1室を使ったインスタレーションもあった。
荒木は物語を含んだインスタレーションを制作している。なぜ荒木が美術館で展示を繰り返しているのか、なぜそんなに学芸員に評価されているのか不思議だった。
今回、天井から照明を吊るし、また壁面に設置した箱にオブジェを入れていて観客がカギを借りて箱を開けるという作品もある。また版画作品も多数展示していた。
地下3階のギャラリーCは大きな空間を使ったインスタレーションだ。中央に球体の大きな構造物が置かれている。これは何だろう。その奥の一角に楕円形の黒い棒状のオブジェが床に置かれていた。これはヴァギナではないのか。そう思ったら中央の球体は子宮ではないかと思われた。六本木ヒルズのルイーズ・ブルジョワの蜘蛛の彫刻を連想した。あの蜘蛛は母親だという。すると、荒木の球体も母親=子宮に他ならないのではないか。
ただ、ブルジョワの母への愛憎とは異なり、荒木の場合は母親への想いではなく、産む性としての女が感じられた。
これは私の独りよがりの感想かもしれないが。
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荒木珠奈展「うえののそこからはじまりはじまり」
2023年7月22日(土)―10月9日(月)
9:30-17:30(金曜日は20:00まで)月曜休館
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東京都台東区上野公園8-36
電話03-3823-6921
https://www.tobikan.jp/hajimarihajimari